耐圧試験では、現場や試験対象によって必要になる配線が変わります。
私自身、最初から現在のセットを使っていたわけではありません。
現場で耐圧試験を行う中で、
・必要な配線が足りない
・高圧印加線が他の機器に触れないように処置するのに時間がかかる
・配線同士が絡まって収納しづらい
・試験終了後の員数確認がしづらい
といった経験をしながら、少しずつ配線を追加・変更してきました。
今回は、現在私が耐圧試験で実際に使用している配線セットと、それぞれの用途、これまでに改善してきた内容を紹介します。
【写真:耐圧試験セット全体】

現在使用している耐圧試験セット
現在は、主に以下の配線や道具を使用しています。
・シールド付きネオン線 ×1
・3線短絡線(ネオン付き)×5
・短絡線(ネオン付き)×6
・短絡線(IV線)×6
・緑のシャント線 ×20
・平編みメッキ線付きアース ×1
・アース延長線 ×7
・UGS用ボルト ×3
・PASのSOG制御線短絡接地線 ×1式
・ビニールテープ
・員数確認用ラミネート
アタッシュケースに入れています。(GT-Rという形式で一番大きいサイズです。)
それぞれの用途を紹介します。
シールド付きネオン線
【写真:シールド付きネオン線】

耐圧試験機から被試験物へ試験電圧を印加するための線です。
シールド部分からワニ口クリップが出ており、これを接地することで、シールド外部への電界の影響を抑えることができます。
耐圧試験では、6,600Vの高圧設備に対して10,350Vの試験電圧を印加することがあります。
そのため、試験電圧を印加する配線は、なるべく他の機器などに接触しないように配線する必要があります。
以前は自作したネオン線を使用していたため、防護シートを使用したり、ビニールテープで配線を宙吊りにしたりして、他の機器との離隔を確保していました。
シールド付きネオン線に変更してからは、シールド部分を接地することで、配線途中の離隔確保にかかる手間を大幅に減らすことができました。
なお、端末部や接続部分などは高電圧が印加されるため、適切な離隔確保が必要です。
私が使用しているシールド付きネオン線は、双興電機製作所のホームページから購入しました。
「ネオンシールドコード 15NS-TK-NS」というものです。
3線短絡線(ネオン付き)
【写真:3線短絡線】

耐圧試験では、機器の相間に電位差を生じさせないため、三相を短絡して試験することがあります。
変圧器など、内部回路によって各相が電気的につながっている機器もありますが、私は基本的に三相を短絡した状態で耐圧試験を行っています。
また、引き込みケーブルの耐圧試験では、三相一括で試験する際にこの3線短絡線を使用します。
特にPASと引き込みケーブルが接続された状態で耐圧試験を行う場合には注意が必要です。
VT内蔵形のPASでは、一相ずつ試験電圧を印加するとVTの相間に電位差が生じ、焼損につながるおそれがあります。
実際に、このような試験方法によって事故が発生するケースもあります。
そのため私は、試験対象や機器の構成を確認したうえで、基本的には三相を短絡した状態で耐圧試験を行っています。
短絡線(ネオン付き)
【写真:短絡線】

竣工現場などで、キュービクル内の複数の機器を一括して耐圧試験するときに使用しています。
例えば、コンデンサ回路にVCSが設置されている場合、受電前の状態では制御電源がなく、VCSを投入できないことがあります。
その状態ではVCSの一次側と二次側で回路が分かれているため、この短絡線を一次側と二次側に取り付けて回路をつなぎ、一括して耐圧試験を行います。
また、複数の機器を単体でまとめて耐圧試験する際に、機器同士を接続するためにも使用しています。
短絡線(IV線)
【写真:IV線の短絡線】

単体の機器を複数まとめて耐圧試験する際に使用しています。
単体で置かれている機器には、それぞれ接地が取られていないことがあります。
そのため、このIV線を使用して機器同士の接地部分をつなぎ、まとめて接地できるようにしています。
緑のシャント線
【写真:緑のシャント線】

これも、IVの短絡線と同様に機器単体の試験の時のアース取り付けに使っています。
IV線だけでは足りなくて追加で作成しました。
これは20本作成しました。今では足りなくなることはないです。
平編みメッキ線付きアース
【写真:平編みメッキ線付きアース】

複数の機器を単体で耐圧試験するときに使用しています。
現場で耐圧試験を行う際、キュービクル内の接地バーから、耐圧試験を行う場所までこの線を伸ばしておきます。
先端には平編みメッキ線を取り付けてあり、ここをアースのターミナルとして使用します。
測定器や耐圧試験機、被試験物など、複数の接地線を接続しやすくするために、この形にしています。
アース延長線
【写真:アース延長線】

平編みメッキ線付きアースから、耐圧試験機や被試験物などへ接地を伸ばすための線です。
また、接地を別の場所から取る必要がある場合にも、このアース延長線を使って伸ばすことができます。
接続後に同通を確認することで、確実に接地が取れているかチェックしています。
UGS用ボルト
【写真:UGS用ボルト】

UGSの耐圧試験時に使用しています。
新設前のUGSを単体で耐圧試験する際、端子部にこのボルトを取り付け、試験用の配線を接続しています。
現場で使わなくなったものを廃棄する前にもらい、現在も試験用として使用しています。
ビニールテープ
耐圧試験時には、ビニールテープもよく使用します。
主な用途は、
・キュービクルの扉を固定する
・配線が他の機器に触れないように固定する
・配線を宙吊りにして離隔を確保する
などです。
耐圧試験以外でも使用することが多いため、常に持ち歩いています。
PASのSOG制御線短絡接地線
【写真:SOG制御線短絡接地線】

PASを耐圧試験する際に使用するために作成した線です。
PASの耐圧試験では、メーカーの取扱説明書にSOG制御線を接地するよう記載されている場合があります。
その際に、制御線をまとめて短絡・接地するために使用しています。
メーカーや機種によって試験方法や説明書の記載内容が異なるため、実際に試験を行う際は対象機器の取扱説明書を確認しています。
員数確認用のラミネート
【写真:員数確認表】

耐圧試験終了後の員数確認に使用しています。
試験終了後、短絡線や接地線などをキュービクル内に残したまま受電すると、短絡事故などの重大な事故につながるおそれがあります。
そのため、使用している配線の種類と本数を記載した員数確認表を作成し、試験終了後にすべて回収できているか確認しています。
ラミネート加工しているため、現場でも繰り返し使用できます。
ポーチを使って種類ごとに収納
【写真:ジッパーに分けて収納している状態】

以前は配線をそのままバッグに入れていたこともありました。
しかし、その状態では配線同士が絡まりやすく、本数の確認もしづらいという問題がありました。
現在は、配線の種類ごとにジッパーへ分けて収納しています。
ジッパーを使用することで、
・種類ごとに本数を確認しやすい
・配線同士が絡みにくい
・必要な配線をすぐに取り出せる
・試験終了後の員数確認がしやすい
というメリットがありました。
耐圧試験では多くの配線を使用することがあるため、種類ごとに分けて収納する方法はかなり便利だと感じています。
耐圧試験セットの改善履歴
最初から現在のセットを使用していたわけではなく、実際の現場で不便に感じた部分を少しずつ改善してきました。
自作ネオン線からシールド付きネオン線へ変更
以前は、シールド付きネオン線ではなく、自作したネオン線を使用していました。
自作したネオン線では、耐圧トランスから被試験物までの高圧印加線が他の機器に触れないよう、防護シートを使用したり、ビニールテープで宙吊りにしたりする必要がありました。
シールド付きネオン線に変更してからは、配線途中の離隔確保にかかる手間が大幅に減り、試験準備がしやすくなりました。
3線短絡線と短絡線の本数を増やした
ネオン付きの3線短絡線と短絡線は、現場で足りなくなった経験があったため、本数を増やしました。
現在は、
・3線短絡線(ネオン付き)×5
・短絡線(ネオン付き)×6
を用意しています。
今のところ、この本数で足りています。
今後さらに大型の現場などで不足することがあれば、追加で作成する予定です。
まとめ
今回は、私が実際に耐圧試験で使用している配線セットを紹介しました。
耐圧試験の現場や試験対象によって必要になる配線は異なります。
私も実際の現場で、
「この配線がもう少しあればよかった」
「もっと簡単に準備できないか」
「どうすれば員数確認がしやすくなるか」
と考えながら、少しずつ現在のセットに変更してきました。
現在も完成形だとは思っていません。
今後も現場で不便に感じることがあれば、配線を追加したり、新しい道具を取り入れたりして改善していく予定です。
※本記事は、私が実際の耐圧試験で使用している配線や道具を紹介するものです。耐圧試験は高電圧を扱う危険な試験です。実施にあたっては、使用する試験器や対象機器の取扱説明書、メーカー指定の試験方法を確認し、必要な知識・技能を有する方が適切な安全措置を講じたうえで行ってください。


